「山へよする」
こんにちは。
今日は、名作とよばれる文学作品を紹介しようと思います。
まず、竹久夢ニの歌集、『山へよする』。
「宵待草」の絶唱で知られる画家、竹久夢二(明治17~昭和9年、50歳没。岡山県生まれ)が、初めて金沢を訪れたのは、明治43年のことです。
それは最初の女性岸たまき(戸籍名・他万喜)の故郷を、やはり一度は見ておきたいと思ったからでしょう。
それほどたまきは、夢二にとってはどうにも忘れがたい女性であったのです。
たまきは、元々金沢に育ちましたが、結婚した相手に死なれ、一つには相手が画家であったということもあってか、上京して小さな絵葉書屋を開きます。
そこへ現れたのが夢二でした。
そして眼の大きくてどこか哀しげな、若く美しい未亡人に、彼はすっかり心を奪われてしまいます。
時に明治39年11月。
夢二が24歳、たまき26歳でした。
だから翌年1月24日の「平民新聞」は、
「さる程に氏年久しき下宿の住研に、そぞろ独身のうら寂しきを嘆ちて、
いかでかは百年の苦楽を倶にすべき人もがなと想ひ居たるが、
ヴィナスの神も氏の心根を憐れとや思ひ給ひけん、
遂に大いなる眼の殊に美しき人を配せしめ給ひ、
先の頃目出度く結婚の式を挙げ、牛込宮比町四番地に新宅を構えたりとぞ、
それかあらぬか此頃氏の描く婦人の眼が殊に大きくなりたるは、
蓋し夫人をモデルとするに依れるなりと匠義悪なき京童の噂とりどり」
・・・と報じています。