「平家伝説」
今回は、半村良の『平家伝説』。
昔は西海の波の上にただよいて、怨憎会苦を船のうちに積もり、今は北国の雪のうちに埋もれて、哀別離苦のかなしみを故郷の雲に重ねたり。
日数経れば、能登の国にぞ着き給う(「平家物語」)
・・・平清盛の妻時子の兄であり、「平家にあらずんば入にあらず」と権勢をほしいままにした平時忠は、壇の浦で捕らえられて京に送られた後、文治元年(1185)9月末、能登の国に配流されました。
配所は珠洲郡大谷村(現珠洲市大谷町)と伝えられ、大谷峠中腹にある八基の五輪塔は時忠とその一族の墓所とされています。
江戸中期に書かれた『能登名跡志』によると、船が大谷の郷の間に着いた時、烏が一羽飛び去ったのを見た時忠は、これこそ自らの所持する名刀「重代の鳥丸の太刀」の精に違いないとして、
「此烏の行泊る所を館にせん」
・・・と後に従ったといいます。
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